金利0.75%の凪(なぎ)。日米の「温度差」縮小と、50代が握るべき舵

資産の座標

2026年1月24日。 北の街は今日も冷え込んでいますが、風は止み、雪も落ち着いています。

昨日(1月23日)、日銀の金融政策決定会合の結果が公表されました。 結果は「政策金利 0.75%程度で維持」。

昨年12月の会合で、0.5%から0.75%への利上げが決定されたばかりですから、今回は「現状維持」という、ある意味で予想通りの「凪(なぎ)」の状態です。

しかし、水面下では大きな潮流の変化が起きています。 今回は、公開された「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」と、私たちが直面している「金利ある世界」の現在地を、日米の比較という座標軸で読み解いていきます。

1. 「0.75%の世界」とはどういう場所か

まず、私たちが今立っている場所(金利水準)を確認しましょう。

「無担保コールレート(オーバーナイト物)」という、銀行同士がお金を貸し借りする際の金利が、現在0.75%に設定されています。 若い世代には馴染みがない数字かもしれませんが、私たち50代にとっては「ようやく昔の『普通』に戻りつつある」という感覚に近いかもしれません。

重要なのは、これが「点」ではなく「線」の変化だということです。

日米政策金利の推移(2022年〜2026年)

2022年から2026年にかけての日本と米国の政策金利推移グラフ。日本は0.75%へ上昇、米国は3.75%へ下降し、金利差が縮小している様子。

このグラフを見てください。作成した「金利の天気図」です。

  • 赤線(日本): 長らく水面下(マイナス金利)やゼロ付近を這っていましたが、2024年の春に浮上し、階段を上るように0.75%まで到達しました。
  • 青線(米国): 一時は5.5%という高み(インフレ抑制のための急勾配)にありましたが、2024年後半から「利下げ」の局面に入り、現在は3.75%付近まで降りてきています。

これまでは「日本はゼロ、米国は高金利」という極端な「温度差(金利差)」が開いていました。これが猛烈な円安の主因の一つでもありました。 しかし今、ワニの口が閉じるように、その差は急速に縮まっています。

2. 展望レポートが示す「これからの天候」

今回公表された「展望レポート(2026年1月)」を読み込むと、日銀の「航海日誌」とも言える現状認識が見えてきます。

  • 国内の循環: 賃金と物価がセットで上がる「好循環」が少しずつ強まっている(=デフレ脱却の確信)。
  • 物価の見通し: 一時的に政府の対策などで消費者物価の上昇率は2%を下回るものの、基調としては再び上昇していく。
  • リスク要因(低気圧): 海外経済、特に米国の動向や関税政策の影響には注意が必要。

要するに、日銀は「経済は順調に回復しているから、今後も様子を見ながら、ゆっくりとアクセルを緩める(=利上げを進める)方向性は変えない」と言っているのです。 今回の「維持」は、あくまで12月の利上げの効果や、海外の情勢を見極めるための「一時停止」と捉えるのが自然でしょう。

3. 50代が再設定すべき「2つの座標」

この環境下で、私たち50代はどう備えるべきでしょうか。 「金利差の縮小」と「国内金利の上昇」は、家計という船に直接的な影響を与えます。

資産の座標:ボラティリティへの備え

日米の金利差が縮小すると、為替(円相場)が大きく揺れ動く可能性があります。 円高方向に振れれば、保有している米国株(S&P500やオルカン)の円換算評価額は目減りして見えるかもしれません。

  • 対策: 一喜一憂しないこと。積立投資は淡々と継続し、「評価額の変動」は航海の波のようなものだと割り切る。
  • 現金の実力: 預金金利も少しずつ上がってきます。「現金を寝かせておくリスク」だけでなく、「現金が利息を生むメリット」も復活しています。生活防衛資金を確保する意味合いが、少しポジティブになります。

負債の座標:住宅ローンの点検

もし変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、今回の「0.75%への定着」は、半年後の返済額改定に影響してくる可能性があります(多くの銀行は4月と10月に基準金利を見直します)。

  • 対策: 借り換えを焦る必要はありませんが、銀行から届く「返済予定表」は必ず開封し、「金利が1%上がったら月々の返済はどうなるか」をシミュレーションだけはしておきましょう。これは心の防波堤になります。

まとめ:嵐ではなく、季節の変わり目

「金利が上がる」と聞くと、身構えてしまうのが人間の心理です。 しかし、これは嵐が来るというよりは、「異常気象(ゼロ金利)」から「通常の四季(金利ある世界)」に戻ろうとしているプロセスです。

米国との金利差が縮まることで、極端な円安是正への期待も持てます。 輸入品の価格高騰が落ち着けば、私たちの生活コスト(特に冬場の光熱費!)にも優しい風が吹くかもしれません。

「0.75%」という数字。 これを恐怖の対象ではなく、「経済が体温を取り戻した証」として冷静に受け止める。 そんな大人の余裕を持って、今週も淡々と職務と生活に向き合っていきましょう。

記事要約:『金利0.75%の凪。日米の「温度差」縮小と50代の舵取り』。要点3つ:1. 政策金利0.75%は経済回復の体温。2. 米国利下げで金利差は縮小へ。3. 変動金利ローンは返済額シミュレーションを推奨。

免責事項: 本記事は情報の提供を目的としており、投資勧誘や特定の金融商品の推奨を目的としたものではありません。政策金利の解釈や市場の見通しは筆者の個人的見解であり、将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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