暦は春を予感させ、データは厳寒を告げる。土用の入りと平均気温−3.6度の現実

冬の土用の厳寒を示す気温推移グラフが浮かぶ凍った窓。データが突きつける氷点下の現実と、時期を待つための静かな時間を表現したイメージ。 環境の座標

季節の変わり目という名の「底」

本日、1月17日は「冬の土用」の入りです。 そもそも土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の直前、約18日間のことを指します。つまり、年に4回訪れる「季節の変わり目」です。

しかし、ここ北国の窓辺から見える景色は、変わり目などという生易しいものではありません。路肩の雪山は背丈を超え、除雪車が置いていった硬い雪の塊に、朝から悪戦苦闘することもしばしばです。

「暦と体感のズレ」はなぜ起きるのか。 曖昧な感覚をそのままにしておくのはどうにも落ち着きません。そこで、気象庁の過去30年のデータを引っ張り出し、この時期の気温推移をグラフに落とし込んでみました。

すると、そこには私たちが直面している「冷たい現実」が、残酷なほど正確な数値として浮かび上がってきたのです。

データで見る「土用」の正体

まずは、作成したこちらのグラフをご覧ください。1月から2月にかけての、私の居住エリアにおける気温の推移です。

札幌市の1月から2月にかけての平均気温推移グラフ。2月上旬に底打ちし最低気温となるデータ
出典:気象庁ホームページ(過去の気象データ検索・札幌)のデータを加工して作成

「−3.6度」の底を這う期間

グラフの網掛け部分が、今日から始まる「土用」の期間です。 ご覧の通り、気温の折れ線は上昇の兆しを見せるどころか、むしろ**「底」**に向かって下降しています。

統計データによれば、この期間の平均気温は氷点下3度台で推移し、特に2月の第1半旬(2月1日〜5日頃)には平均気温**−3.6℃、最低気温−6.9℃**という、期間中の最低値を記録しています。

つまり、データの上では、冬の土用とは「冬から春への架け橋」ではなく、**「一年で最も深く、暗い寒さの底」**であることが証明されました。 今は決して無理をして動くべき時ではなく、じっと耐え忍ぶ時期だと言えるでしょう。

「土」の気が教えるリスク管理

では、この過酷な時期をどう過ごすべきか。ここで視点を変えて、古い知恵である「五行説」を紐解いてみます。

循環の中にある「踊り場」

五行説では、万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素からなると考えます。季節で言えば、それぞれ以下の時期から始まります。

  • 木(もく):春(立春・2月上旬〜)。のびやかに成長する時期。
  • 火(か):夏(立夏・5月上旬〜)。エネルギーが燃え盛る時期。
  • 金(ごん):秋(立秋・8月上旬〜)。実り、結実して固まる時期。
  • 水(すい):冬(立冬・11月上旬〜)。静かにエネルギーを蓄える時期。

では「土(ど)」はどこにあるのか。 実は、それぞれの季節の終わりに配置され、次の季節へ移り変わるための「調整期間(バッファ)」の役割を果たしています。

春(木)になる前に、冬(水)の気を一度「土」に還し、腐葉土のように混ぜ合わせて次の生命の土台を作る。 今の時期は、まさにその「土」の期間です。

動かず、整える

昔から土用の期間は「土を動かしてはいけない」と言われ、建築や穴掘りを忌む風習があります。

これを現代的に解釈すれば、**「基盤が不安定になりやすい時期だから、余計な負荷をかけるな」**という教訓として読み取れます。 今は寒さの底です。新しいことを始めたり、楽観的な予測で動いたりする時期ではありません。

凍結や破損のリスクがある箇所はないか。 自分自身の体調に無理はないか。 そうしてじっと**「守り」**を固めることこそが、この時期に求められる最適なスタンスなのです。

まとめ:春の気配はまだ先の話

グラフの右端、2月中旬以降にようやく気温の上昇カーブが見えてきます。 本当の意味で春を感じられるのは、もう少し先の話のようです。

今は、華やかな春を夢見るよりも、足元の氷ですべらないように慎重に歩くこと。 今週末は、もしもの停電に備えて、カセットボンベの在庫を一本だけ確認してみてはいかがでしょうか。そんな小さな「備え」が、心の温度を少しだけ上げてくれるはずです。


【免責事項】 本記事は気象庁の過去の統計データ(1991-2020年平年値)に基づき執筆していますが、将来の気象状況を保証するものではありません。また、五行説等の解釈は筆者の個人的見解であり、科学的根拠に基づくものではありません。防災対策や健康管理等の判断は、ご自身の責任において行ってください。

グラフ出典:気象庁「過去の気象データ検索(札幌 平年値)」を基に作成

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